LED電球の寿命が短い!長持ちするんじゃないの?
消費電力が少なく寿命の長いLED電球は、2011年の東日本大震災以後急速に普及しました。普通の電球と似た形状のLED電球の寿命は、その多くが4万時間ほどとされています。
1日10時間点灯すると仮定しても10年程度使える計算になります。ところが普及し始めた当初、購入から日が浅いにもかかわらず点灯しなくなるトラブルが多発し、まだ販売価格が高価だったこともあり問題視されたことがありました。
基本的に「4万時間」というLED電球の「定格寿命」とはどうやって決まるものなのでしょうか。
社団法人・照明器具工業会(2008)では「一般用照明器具の主光源として使用する場合のLEDの寿命は、全光束が初期全光束の70%、または、光度が初期光度の70%に低下するまでの時間とする。 ただし、表示または装飾の用途に使用する場合はこの限りではない」とされています。
この基準に従い、開発段階での試験や科学的なデータからはじき出される寿命は「定格寿命」や「設計寿命」と呼ばれます。
試験や実験は実際に使用される環境とは違い、使用に適した条件下で行われます。このため「4万時間使い続けられる」というのは予想値であり、必ず使い続けられるという保証値ではないのです。
そのため設置した場所や器具によって想定された寿命より早く切れてしまうことがあります。
LED電球の寿命が短いのは気のせい?寿命が10年て本当?
●実際に10年使い続けた例はまだない
LEDが一般の家庭でも使われるようになったのは2010年頃からです。LED電球の寿命として想定された10年を迎えるのはこれからで、実際に10年使用できたかどうかのデータが少ないのが現状です。
●10年経たずに使えなくなったケースもある
普及から日の浅いLED電球ですが、想定された寿命よりもずっと早く壊れた事例は多くあります。
その理由として、発売当初のLED電球の性能の問題や利用する側の知識不足から、正しく設置・使用されなかったことがあります。取り付ける機器との適合性や、すでに老朽化した照明器具に取り付けたことも故障の原因として挙げられます。
LED電球が「絶対に長持ちする」というわけではないことを理解しておきましょう。
LED電球が寿命よりも短い期間で切れてしまうのはどうして?
一般的な電球はフィラメントが切れてしまって点灯しなくなります。蛍光灯は電極の劣化により使えなくなります。
LED電球の場合は、内部の電子回路が故障することで点灯しなくなります。回路の品質が悪い場合は劣化も早く、突然点灯しなくなることがあるのです。
また、温度や湿度などの使用環境もLED電球の寿命に関係します。
LEDチップは発光する際にほとんど熱を出しませんが、周辺の回路は熱を発生します。電球内部はそれらの温度を放熱して一定に保つよう設計されています。ただ、この設計に問題がある場合は、熱による劣化が早まって4万時間の寿命を待たずに使用できなくなるのです。
現在、LED電球の多くが海外で作られていますが、日本のメーカーは高水準の品質管理を行っており使用を始めてすぐに壊れてしまうのは、まれなケースと言えるでしょう。
LED電球を使うことのメリットって?
●すぐに点灯する
LED電球は通電から発光までの応答時間がとても短く、スイッチを入れた瞬間に点灯します。
また、これまでの蛍光灯などは点灯と消灯をこまめに繰り返すとエミッタが消耗し、寿命が短くなるおそれがありました。LED電球は点灯・消灯の繰り返しに強く、トイレの照明や人感センサーライトなどの使用に適しています。
●少ない消費電力
LEDの消費電力は白熱電球と比較すると20~25%に抑えられるので電気料金を抑えることができます。また、電球本体からの発熱も少なく電力のロスも少ないというメリットがあります。
低い電圧でも点灯できることも特徴で3Vほどで点灯するので、様々な機器で使用されます。
●振動や衝撃に強い
電球は、その内部にある細いフィラメントが振動や衝撃で切れやすいというデメリットがありました。LED電球の場合、個体光源であることから振動に強く、周囲をシリコンなどの樹脂で覆われているので衝撃にも強いという特徴があります。
白熱電球の寿命が短い!原因は何?
LED電球は価格も下がり普及が進んでいますが、以前からある白熱電球を使い続けるケースもあるでしょう。
白熱電球の場合、設置場所によって頻繁に電球が切れてしまうことがあります。数ヶ月と経たずに何度も切れてしまうという場合は、使用する器具や地域の電圧が適合しているか確認してください。
例えば、日本では一部の地域で110Vの電圧が使われていることがあり、そこで100V用の白熱電球を取り付けると、点灯し使用はできるのですが極端に寿命が短くなってしまいます。
白熱電球を使用する場所の多くは、頻繁にスイッチのON・OFFを繰り返すことも多いものです。白熱電球が光る時のフィラメントは約3000度もあり、頻繁に点けたり消したりを繰り返すと極端な温度変化を何度も繰り返すことなります。
これが白熱電球の寿命を縮めてしまう一因になります。
同じように、非常に温度が低い場所で白熱電球を使用すると点灯・消灯時の温度変化が大きくなりフィラメントが切れやすくなって寿命を短くしてしまいます。